【『繰り返す出会いが…』
私は小学校の頃、富田林の府営住宅(今のマンション形式ではなく、庭付き一戸建て)に住んでいました。思い出すのは、同じ住宅の中で野菜から魚、肉までなんでも揃っている家「大塚さん」(お店)があって、おじさんが毎日大八車で住宅を練り歩き、「なんぞいりまへんか~」と大声で呼びかけていたことです。うちもほぼ毎日なんか買っていたので、なんもない時も必ず家の前に止まって話をしていました。その他、豆腐屋、米屋、酒屋といわゆる「御用聞き」のおじさんがしょっちゅう家に来ていました。ネットはもとより電話もないし、店もない、車もないという時代。お店の方から出歩いて注文を取っていた時代です。しかしそれで充分日常は暮らせていましたし、楽しかった思い出しかありません。
この特に呼ばれなくても訪問する「御用聞き」、実は心理学的にも有効な営業のようです。単純接触効果(ザイアンス効果)と言って、「繰り返し接すると好意度や印象が高まる」という効果です。1968年、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが論文にまとめて知られるようになったそうです。対人関係では熟知性の原則と呼ばれます。
はじめのうちは興味がなかったものも何度も見たり聞いたりすると、次第に良い感情が起こるようになってくるという効果。例えばよく合う人や、何度も聞いている音楽は、好きになってゆく。これは見たり聞いたりすることで作られる潜在記憶が関わっているようです。
もちろん、後の研究では10回からは効果が低減するとか、一度嫌悪感を抱くと逆効果になるといったマイナス面も分かっています。ですから出会えば良いというものでもありませんが、たった一回の出会いよりは、10回以上は出会う事で良い効果が期待できます。
出会いを大切にしましょう。
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